---実際、馬主になってみてどうでしたか?
関口 いやぁ、これほどイライラするもんはなかったね。なかなか勝てんかった。たとえば、これがビジネスやったら自分が頑張ればそれだけ売上げも伸びるでしょ。ところが競馬は、どんなに馬主が頑張っても、走るのは馬とジョッキーやからね。
---ジレンマがあったわけですね。
関口 そうです。それでもう馬主を辞めようかと思ってたときに、ある調教師さんを紹介されて。そして彼のコネクションで、大手の牧場から良血の馬が買えるようになって。このあたりからボチボチ勝てるようになって、競馬の面白さがわかってきました。
---良血の馬は違いますか。
関口 それはもう、走りも毛並みも全然違うし、顔つきからして違う。一流のサラブレッドに触れるようになって、ようやく気づきましたよ。「あぁ、サラブレッドってのは車と同じなんや」ということに。
---馬と車は同じ?
関口 たとえばフェラーリでもポルシェでも、いい車には大量生産できない「職人のこだわり」があります。長年にわたって受け継がれてきた伝統の技が、細部にまで散りばめられている。
---そうですね。
関口 これと同じで、良血のサラブレッドは生まれながらにして「一流」としての伝統を背負ってるんですよ。一流の調教師さんたちが、何代にも渡って守り抜いてきた伝統をね。だから、自分もこの伝統に恥じない調教とレースをさせたいし、その遺伝子を子々孫々へと継承させていきたいと思う。
---そう言われてみると、似たところがありますね。
関口 このあたりは、実際に自分が「一流」に触れないとわからないでしょう。馬や車に限らず、どんなにたくさんの三流に触れても、一流の男にはなれません。ひとつでも多くの一流に触れ、その息吹を肌で感じることが大切なんです。 |